2022 年 5 月 21 日(土)10 時から 13 時(英文学会と同日)にズーム開催します。URL は ML で、開催約 1 週間前にお知らせします。
タイトル:“The Capital of the World” を読む -苦闘するヘミングウェイ-

コーディネーター・講師:水口陽子(大阪樟蔭女子大学)
講師:中垣恒太郎(専修大学)
岡本晃幸(藤女子大学)
渡邉藍衣(東京女子大学・非常勤講師)

WS 内容要旨
“The Capital of the World” は、Esquire 誌の 1936 年6月号に “The Horns of the Bull” というタイトルで発表された短編である。ルアルカというペンションのダ イニングで、給仕として働く若い青年 Paco が闘牛の真似ごとで命を落とすとい う出来事を扱った作品である。作品の冒頭では、ペンションに滞在する闘牛士た ちの詳細な描写と、宿泊する聖職者たちの滑稽なやりとりが描かれる。ヘミング ウェイの短編の中ではあまり読まれておらず、議論される機会も少ない作品では あるが、イニシエーション、闘牛、死といったヘミングウェイのいくつかの重要 なテーマを扱っている。

1930 年代は、ヘミングウェイが政治に目を向け、ジャーナリストとしてノン フィクションに携わっていた時期であり、優れたフィクションを書けないスラン プの時期と見做されている。この作品をIn Our Time の実験的初期作品を踏まえ ながらも、作家としても活動の場所を移し、新しい書き方の模索している作品と して読むことは可能だろうか。

世界がウクライナ情勢という問題を抱える今、この作品をどのように読むこと ができるだろうか。この作品のタイトルともなっている “the World” という言葉 の多義性を探りながら、この短編を精読し、作品の面白さをフロアの皆さんと分 かち合いたい。文体、短編のスタイル、作品のテーマに関して中垣と水口が、ヘ ミングウェイがスペイン内戦や革命をどう捉えていたかなど、この作品に見られ る歴史的背景と政治性について渡邉と岡本が扱う予定である。

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