日本ヘミングウェイ協会2014年5月 ワークショップ
2014年5月24日(土)10時〜12時30分
北海道大学E棟303教室
-----プログラム-----
▲ 開会の辞 (10:00) 塚田幸光(大会運営委員<WS担当>・関西学院大学)
▲ワークショップ(10:05〜12:30)
ミニシンポジウム「蝶々と戦車」を読む―メディア・暴力・ナラティブ
司会・講師:古谷裕美(中央大学・非)
講師:堀内香織(中央大学・非)
河田英介(千葉大学・非)
横山 晃(立教大学・院)
▲閉会の辞(12:30)島村法夫(会長・中央大学)
(なお、24日18時頃から会場近辺で懇親会(会費5000円前後)を予定しておりますので、ふるってご参加ください。懇親会への参加については事務局(hemingwayjapan@yahoo.co.jp)までメールでお申し込みください。締め切りは5月10日(土)です。詳細はお申込みいただいた方へメールでお知らせいたします。)
-----WS内容要旨-----
「蝶々と戦車」はヘミングウェイがNANAの特派員として取材活動を行っていたスペイン内乱時に執筆され、1938年にEsquireで発表された後、著者の死後、The Fifth Column and Four Unpublished Stories of the Spanish Civil War (1969) において、スペイン内乱をめぐる他の短編と共に出版された。テクストの政治性、ジャーナリズム性、フィクションとノンフィクションの狭間に位置する描写手法など、ヘミングウェイの他のテクストとは異なる性質を有する一方で、本作はこれまで詳細な分析がなされてこなかった。本発表では、四人の発表者による多角的な視点から、テクストの内部構造、影響を受けたメディア、執筆されたコンテクストについての分析を進め、本作の多層性や新たな読みを提示する。
河田はナラィティヴの分析を通してその基本構想を確認し、1930年代北米文学の潮流を俯瞰しつつ、この作品の性質を同定する。古谷はスペイン内乱関係の他の短編にも言及しつつ、バーという物語空間、ジェンダー配置の不安定性、暴力について論じる。堀内は作中の “flit gun” と “eau de cologne” に注目し、同時代の映画に言及しつつ社会文化的視点から作品を読み解いていく。横山は検閲をキーワードに、ヘミングウェイの結婚生活が作品にどのような影響を及ぼしていたのかを考える。