新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、生活様式や経済活動が甚大なる影響を受けており、会員の皆様におかれましても、公私にわたる様々なご不便を強いられていることと存じます。学問研究もこの影響の例に漏れず、あらゆる領域において、学会諸活動の縮小や中止、あるいは開催方式の変更といった影響が出ております。日本ヘミングウェイ協会におきましても、5月に予定しておりましたワークショップを中止せざるをえなかった件につきましては、皆様もご記憶のことと存じます。
9月に入ってもなお、感染拡大の勢いはとどまるところを知らず、終息の気配すら見えません。評議員会におきましては、こうした社会状況と協会の現状を勘案した結果、今年度の全国大会と学会誌『ヘミングウェイ研究』の発行につきまして以下のような決断を行いました。
(1) 2020年度全国大会の中止:2020年12月19日、20日予定されておりました全国大会は中止とさせていただきます。ウェブ開催の可能性も模索いたしましたが、本協会の全国学会の内容、形式とはなじまないと判断したため、やむなく中止の判断を行いました。予定されておりましたシンポジウムは、来年度の全国大会へと延期させていただきます。
(2) Zoomによる研究発表の実施:(1)のような判断をいたしましたが、来年12月まで丸2年にわたって研究発表が行われないのは、協会の学問的な水準の維持や、特に若手研究者の研究活動に多大な影響を与えることになると考え、オンライン会議システムのZoomを利用した研究発表の機会を設けることとしました。発表希望は随時受け付けることとし、申し込みがあった段階で大会運営委員会が日時とZoomのミーティングルームを設定し、会員の皆様にはメールでそれらをお知らせするという形を考えております。詳細につきましては、改めてお知らせいたします。
(3) 学会誌『ヘミングウェイ研究』の22号と23号を合併号として出版:(1)の全国大会の中止により、毎号全国大会での発表を基にした慫慂論文と、投稿論文の掲載を中心としている学会誌『ヘミングウェイ研究』も、2020年度(2021年6月発行予定)の22号につきましては、その内容が大幅に減じられることとなり、22号の単独出版が困難になると予想されます。つきましては、22号と2021年度の23号を合併号として発行することといたします。
ただし、22号の投稿論文の締切である2021年1月22日(金)は予定通りとし、投稿を受け付けます。また、査読も例年と同じスケジュールで行われます。この日までに論文を投稿し、掲載が決定された執筆者には、協会名で「論文掲載証明書」を発行し、2022年6月に発行予定の22号と23号の合併号に論文が掲載されることを証明いたします。この証明書は本協会が公的に発行するものであり、論文発行前であっても、業績書等への当該論文の記載が可能となります。23号の投稿論文の締切につきましては、あらためてお知らせいたします。
(4) 2020年度総会の開催方式について:(1)のように、全国大会は中止といたしますが、毎年全国大会にあわせて開催される総会は、決算案と予算案の承認など、今年度中に審議・承認を経なければならない重要な案件を扱うため、中止・延期ではなく、形式を変更しての開催を予定しております。メールによる持ち回り開催、あるいは、協会ウェブサイトを利用しての審議、質疑応答、議案の採決などの方法を現在検討しております。この件につきましても、詳細の決定次第皆様にお知らせいたします。
以上、協会活動の停滞を引き起こしかねない決断をせざるをえなかったことは、評議員一同、心苦しいばかりではございますが、人類史に確実に記録されるであろうパンデミックの猛威を前に苦慮しながら、協会としてできる限りの対応を考えました。会員の皆様のご理解を賜ることができましたら幸いです。