[更新]本年度も日本英文学会全国大会にあわせてワークショップを開催いたします。

みなさまのご参加をお待ちしております!

日時:2023年5月20日(土)10:00〜

場所:関東学院大学 横浜・関内キャンパス 13 階 1305 教室

タイトル:“The Short Happy Life of Francis Macomber” を読む——交錯する視線——

司会・講師:戸田慧 (広島女学院大学)

講師: 長尾晋宏(森ノ宮医療大学)

横山晃(立教大学)

西光希翔(広島修道大学)

WS 内容要旨

“The Short Happy Life of Francis Macomber” は 1936 年 9 月号にCosmopolitan 誌に掲載さ れた短編小説である。アフリカのサファリに参加したアメリカ人フランシス・マカンバーがラ イオン狩りに失敗した場面から物語が始まり、妻マーガレットとイギリス人の狩猟案内人ロバ ート・ウィルソンの不貞に対する怒りから臆病さを克服し、ついに水牛を仕留めようとしたと き、妻が放った銃弾によって命を落とすという場面で幕を閉じる。本作はヘミングウェイ作品 の中でも一般的な人気が高い作品であり、特に結末のマカンバーの死が妻マーガレットによる 故意の殺人なのか、それとも水牛に襲われそうになった夫を救おうとしたための不幸な事故な のかは批評家の注目を集め、長年にわたり議論の的であった。しかし、逆を言えば、結末の解 釈に読者や批評家の注目が集中する傾向にあったともいえる。

本作はヘミングウェイが良質な小説を書くことに苦戦したといわれる 1930 年代のスラン プの時期の作品だが、猛獣狩り、死の恐怖との対峙、「男らしさ」と「女らしさ」の問題、視 点の転換といった、ヘミングウェイ作品における重要なテーマをいくつも含んでおり、さらに 多様な解釈の余地があると考える。そこで本ワークショップでは戸田慧がこれまでの批評の流 れを概観した上で、登場人物たちの行動規範となる「男らしさ / 女らしさ」というジェンダー の問題について、横山晃が作品タイトルにも含まれている「幸福」の意味についてアメリカの 歴史的文脈から問い直す。長尾晋宏は狩りの場面における「繰り返しの構造」に着目し、西光 希翔は「写真」と狩猟の関係性から考察を行う。結末の解釈が今もなお重要であることに変わりはないが、多様な視点から読み直すことで、本作のさらなる魅力を発見したい。

(同日夜に懇親会も予定しています)