新訳『老人と海』(左右社)

今村楯夫 訳

2022年9月30日刊行

(出版社より)

ノーベル文学賞受賞作家アーネスト・ヘミングウェイの世界的名作が第一人者による新訳でよみがえる。
マカジキと対峙する老人は、「老い」と「弱さ」に向き合うひとりの人間だった。
老人と漁を共にする「boy」を、「少年」ではなく「若者」と解釈することで、老人の「弱さ」を浮かび上がらせ、世界的名作に新たな光を当てる。
老人・サンティアゴのモデルとなった人物を訪ねたエピソードをおりまぜた、訳者・今村楯夫氏による解説も掲載。
————————————————————————————
サンティアゴとマノリンの関係を「老人対少年」でなく「老人対若者」とみなすと、対話する言葉のみならず態度もかなり違って見えてくる。老人のサンティアゴはマノリンという屈強な頼り甲斐のある若者に日常生活においても精神的にも、かなり依存している。自らの「老い」を認識しているがゆえに、その「老い」にまさる強靭な精神性を求めてい ると言えよう。(訳者解説より)


ヘミングウェイ批評:新世紀の羅針盤 (小鳥遊書房)

編著:日本ヘミングウェイ協会編著

2022年4月8日刊行

まえがき  (今村楯夫)

========

海図—新世紀のヘミングウェイ研究に向けて(辻 秀雄)

=========

第一部 ヘミングウェイ文学の原風景

◉第一章
ヘミングウェイが描いたアメリカ—鉄道を中心にして(千葉義也)

◉第二章
情報の圧縮と留保が生み出す効果とそのスタイルの源流を探る(倉林秀男)

◉第三章
隠喩としての「吐き気」—一九一八年パンデミックと「兵士の故郷」再読
(フェアバンクス香織)

第二部 テクストの戦略

◉第四章
ハロルド・クレブズの傷—「兵士の故郷」と二つの物語(前田一平)

◉第五章
ランニング・ブル、ライティング・アーネスト—伝記的語りの政治性(中村嘉雄)

◉第六章
つきまとう『暗い笑い』—『春の奔流』における帰還兵と黒人(中村 亨)

◉第七章
ジェイク・バーンズの欲望の視線—不倫小説として読む『日はまた昇る』(高野泰志)

第三部 抵抗するテクスト

◉第八章
「簡単な質問」精読—翻訳状況、テクスチュアリティ、セクシュアリティ(辻 秀雄)

◉第九章
幻影のゴールデンゲート
—『武器よさらば』と〈抵抗する読者〉を架橋するために(山本洋平)

◉第十章
ポーリーン・ファイファーがヘミングウェイにもたらした創造性
—ジェンダー越境性・カトリック信仰・悪女表象(古谷裕美)

◉第十一章
ヘミングウェイ作品の中のマーサ・ゲルホーン(平井智子)

第四部 人生と物語の狭間で

◉第十二章
『誰がために鐘は鳴る』とスペイン・「ジプシー」の神秘主義(本荘忠大)

◉第十三章
ヘミングウェイの小切手簿—『海流の中の島々』にみる作家の家計(柳沢秀郎)

◉第十四章
チンクとヘム
—エリック・エドワード・ドーマン=スミス(オガワン)との友情(真鍋晶子)

◉第十五章
作家と編集者 二〇年の軌跡—ヘミングウェイとパーキンズの交歓(今村楯夫)
========
あとがき (千葉義也)


ヘミングウェイ批評:三〇年の航跡 (小鳥遊書房)

編著:日本ヘミングウェイ協会編著

2022年4月8日刊行

◉まえがき—日本ヘミングウェイ協会の源流と活動を顧みて(島村法夫)

———————

◉海図—ヘミングウェイ研究の三〇年(小笠原亜衣)

———————

【特別寄稿】
◉ヘミングウェイ—作家の「知的な」振る舞いと美学(今村楯夫)

———————

【特集論文】

◉不況時代のアメリカ—『持つと持たぬと』の背景(千葉義也)

◉ヘミングウェイと記憶の中のミシガン(島村法夫)

◉アンドロジニー論のゆくえ—ハドレーと二人のキャサリン(前田一平)

◉「エリオット夫妻」のセクシュアリティ(谷本千雅子)

◉「スペイン」を巡る「物語」
Kenと”The Old Man at the Bridge” を中心に(長谷川裕一)

◉ナルシスティック/シネマティック・ゲルニカ
—ヘミングウェイ、イヴェンス、『スペインの大地(塚田幸光)

◉戦場へのレクイエム—atomic jokesと『河を渡って木立の中へ』(柳沢秀郎)

◉Hemingway’s Acceptance in China:A Historical Viewpoint(Jun Lu)

◉ヘミングウェイの語りの文体(倉林秀男)

◉偽装された主人公—話法から読み直すFor Whom the Bell Tolls(新関芳生)

◉ヘミングウェイの詩と文体(真鍋晶子)

◉ヘミングウェイのヴァナキュラー・スタイル
—『誰がために鐘は鳴る』、人種、WPA(辻秀雄)

◉ジェイムズ、ヘミングウェイ、覗きの欲望(高野泰志)

◉追憶のパリ
—死後出版作品群における「1920年代パリ」の記憶とその機能(フェアバンクス香織)

瞬間の生、永遠の現在
—“パリのアメリカ人”ヘミングウェイとバーンズの移動性(小笠原亜衣)

———————

【投稿論文】

◉エモーションの換気とその持続
—「大きな二つの心臓のある川」を中心に(大森昭生)

◉交差する言語と身体
—「白い象のような山々」における発話の行為遂行性(辻(古谷)裕美)

◉人種的視点から見た20年代パリとヘミングウェイ
—『日はまた昇る』に見るヘミングウェイの人種意識(本荘忠大)

◉『日はまた昇る』から消された黒人の声
—創作過程と時代状況から考える(中村亨)

◉The Bull and the Matador;
Death in the Afternoon as Hemingway’s Investigation of Death
(Masaaki Wakamatsu)

◉「大きな二つの心臓のある川」再読
—「黒いバッタ」と「茶色のバッタ」(長尾晋宏)

◉サウンド・アンド・サイレンス
—『日はまた昇る』における「音」の機能(勝井(戸田)慧)

◉コーンの鼻はなぜ平たくなければならないのか
—20世紀初頭のアメリカにおける混血恐怖と美容整形術を中心に(中村嘉雄)

彼女たちを語らなかった彼をどう読むか
—ヘミングウェイ作品における女性インディアン表象再考(田村恵理)

———————

◉『ヘミングウェイ研究』創刊号〜第20号の目次と表紙

———————

◉あとがき—進水と航跡(前田一平)

 

 

 

Print Friendly, PDF & Email